県内交通網の発展を阻害したのは滋賀県であること
この記事のまとめ
滋賀県は過去に、新幹線駅というレアアイテムをドブに捨てている
交通ビジョンにより、行きたいとき行きたいこところに行ける交通網を目指すとしているが、それをぶっつぶしたのは滋賀県
滋賀県はその時、湖北と湖南の生活圏は同じではないという主張をしている
滋賀県は当時、湖北が湖南の費用を出すのは適切ではないという世論を容認している
滋賀県は今、県全体で交通費用を出すべきだと主張している
誰も責任をとらず、正反対の政策を打ち出されても信用できない
滋賀県には長期広域事業をする素地はない
結論として、できもしない大がかりな事業はすべきではない、過去の事例から、滋賀県の行政はその資質も能力も備えていないと判断せざるを得ない
新幹線が現在、北海道から九州を縦断し、日本の交通網の動脈とも言える存在であることは子供でも知っている事実です。
15年前、栗東市に新幹線新駅をつくる計画が進んでいました。
計画どおりなら平成27年に完成、竣工していました。
その当時、すでに数百億の公共資金が投入されていましたが、「もったいない」というワンフレーズで新幹線栗東新駅事業反対を選挙公約に訴えた嘉田さんが知事選に勝利し、たった1年で公約どおり同事業を中止に追い込みました。
それまで数10年のJRとの交渉経緯や、進捗済みの工事などの状況、付近の区画整理事業など、すべてお構いなしに根こそぎぶっ潰したことは当時かなりの話題になり、全国ニュースにもなっておりました。
さらに中止になった数年後、突然、同じ知事が「滋賀県に新幹線駅は必要」と発言し、世間を大いに騒がせました。
当時の細かい議論は存じ上げておりませんが、単純にもし、今現在新幹線栗東駅があれば、在来線で40分程度かかる米原―栗東間を10数分、同じく在来線で20分以上かかる栗東―京都間を10分程度で移動することができることになります。
新幹線は日本を縦断していますから、県内に新幹線駅が増えることにより、県外から滋賀県への移動もしやすくなっていたことは間違いありません。
また、新幹線栗東新駅はJR草津線との連結を予定しておりましたので、新幹線栗東新駅―草津線―近江鉄道(貴生川駅で連絡)―米原駅といった新幹線駅から県内ローカル線を利用した観光路線の構築も可能でありました。
滋賀の交通ビジョン、未来を見据えた政策、いつでもどこでも行くことができる県内交通網の構築、という触れ込みではありますが、なんのことはない、歴史的に見れば、滋賀県の行政が県内の交通網の発展を阻害しまくっているのです。
当時の理論は、
「滋賀県には新幹線米原駅があり、湖北の人にとって新幹線栗東駅は不要であり、無駄でしかない、なぜ湖南地域のために県の予算を遣わなければならないのか」
というもので、県の北と南は別々の生活圏であり、湖北の人たちに不要な交通施設を滋賀県全体の予算でまかなうことはおかしいという理論を強烈に推し進め、県民世論を分断し、なし崩しのままたった1年余の議論で『事業凍結』(という名の中止)を強行しました。
新幹線新駅が滋賀県全体の交通をよくする可能性についてはなんら考慮することなく強引に予算を引き上げられ、栗東市は事業の全面中止による膨大な債務を背負うことになりました。
今なお栗東市は新幹線駅中止による負債に苦しんでおりますが、滋賀県は知らぬ存ぜぬで、何事もなかったかのように数年後、「やはり滋賀県に新幹線駅は必要」、そして今、「滋賀県全体で交通をよくしましょう」と、冗談としか思えないことを言い出しております。
繰り返しますが、当時、県は湖北地域と関係ない湖南地域の新駅にカネを出すのはもったいないと言いまくり、県内交通の世論分断を促進していたのです。
「米原駅があるのだから新しい新幹線駅など不要」
「なぜ湖南地域の事業に湖北地域を巻き込むのか」
「湖北地域に駅があるのに湖南地域の交通に滋賀県が支出するのは無駄」
滋賀県は今、15年前とまったく真逆の理屈で県民を扇動しています。
「県全体の交通網が大事です」
「負担は県民全体で分かち合いましょう」
「豊かな地域が交通弱者に手を差し伸べるべき」
県民の皆さん、騙されてはいけません。
特に栗東市の人たちは怒ってもよい場面だと思います。
滋賀県全体を考えず、県内世論を分断し、新幹線新駅をぶっ潰し、県内交通網の将来をポンコツにしたのは滋賀県の行政そのものなのです。
これまで、誰もその責任を取ろうとせず、今、知らん顔で真逆の理論を振りかざし、あらたな巨大広域ビジョンと増税を成立させようと躍起になっておられます。
信用するに値しません。
このことは、今、湖北地方の交通事情をないがしろにしても構わないと言っているのではありません。
自らの都合により見解を180°変えてしまうような行政組織は信用できないという話です。
滋賀県をよくする交通ビジョンについて反対はしません。
しかし、県民は、ほんの10数年前の出来事を忘れてはいけません。
滋賀県はそもそも全体交通ビジョンなど持ち合わせず、新幹線駅をぶっ潰しました。
今、都合よく広域交通ビジョンを語る資格はないと思います。
また、今の知事がどんなに頑張ったとしても、現在行おうとしている長期交通政策が持続する補償などありもしません。
新幹線栗東新駅は、数十年かけて竣工式まで済んだ後にぶっ潰されました。
知事が変わればすべてひっくり返すことをいとわない行政組織だということを自ら証明している、それがこれまでの滋賀県の交通行政なのです。
ゆえに滋賀県の打ち出す長期交通ビジョンについては一切信用することはできません。
数百億の事業を「もったいない」というワンフレーズでぶっ潰せる組織です。
滋賀の交通ビジョンは今現在年間86億円の予算規模。
例えば10年かけて行えば860億円の予算を投じることになります。
それだけ遣って、「やっぱりやめるわ」とならない保証はありません。
すでにその事例があるのです。
そんなリスクを県民が背負う必要はありません。
ましてや、このビジョンは、不透明な長期の見通しにおいて「増税」の議論だけはしっかり行うという、県民を愚弄するようなやり方で進められています。
関係者のみなさま、身にそぐわない長期・大規模事業など考えないでください。
できる限りエリアを細分化し、それぞれの経済状況に応じた成長戦略を地元自治体と協力し、できるだけ現実に即したビジョンをできる範囲で策定してください。
細分化された事業について、数年ごとに【成果の検証】を行い見直していってください。
県民のみなさまは、滋賀県の心地よい未来予測の妄想に騙されないでください。
リスクと予算を最小限にし、現実に沿いながら最大限の成果を求めるのが正しい政治のあり方であると思います。
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